「土地家屋調査士と行政書士は何が違うの?」
「両方の資格を持っているとどんなメリットがあるの?」
「試験は難しい?」
このような疑問を抱えている不動産経営者は多いのではないでしょうか。
両方の資格を保有していることで、一貫した業務を行うことができます。
ここからは、土地家屋調査士と行政書士の仕事内容の違いやダブルライセンスのメリットを紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
土地家屋調査士と行政書士の仕事内容違い
はじめに、土地家屋調査士と行政書士の仕事内容の違いについて紹介します。
- 土地家屋調査士の仕事
- 行政書士の仕事
それぞれ細かく紹介します。
土地家屋調査士の仕事
土地家屋調査士の主な仕事は以下の3つです。
- 不動産の調査・土地の測量
- 表示に関する申請の代理
- 筆界特定手続きの代理・SDR
聞きなれない言葉も多いかと思いますが、わかりやすく解説していきます。
仕事①不動産の調査・土地の測量
1つ目の仕事は、不動産の調査や土地の測量です。
土地を売買するとき、地図上の情報と土地の状態が同じか確認します。
確認方法は、実際に現地を訪れ特殊な機械を使って測量します。
測量には1日かかるため、夏や寒い冬の時期は体力を使うでしょう。
仕事②表示に関する申請の代理
2つ目の仕事は、表示に関する書類の申請です。
表示に関する書類とは、土地の大きさや傾斜など細かい情報が載った書類のことを言います。
この書類には、1つ目の仕事で測量した情報が反映されます。
表示に関する申請は土地家屋調査士の独占業務のため、メインの仕事だと捉えていいでしょう。
仕事③筆界特定手続きの代理・ADR
3つ目の仕事は、筆界特定手続きの代理やADRです。
筆界特定手続きとは、土地の境目である境界線を決めることをいいます。
古くからある土地だと、土地同士の境界線が曖昧な場合があるため、売買のとき値段を付けられず困ってしまいます。
そのため、筆界特定手続きが必要なのです。
しかし、手続きを行うとき、まれに揉め事が起きてしまいます。
この、揉め事を解決するための手続きをADS(裁判外紛争解決手続)といい、この手続きは土地家屋調査士と弁護士が協力して行います。
行政書士の仕事
つぎに、行政書士の仕事を紹介します。
主な仕事は以下の3つです。
- 各種書類の作成
- 許認可申請の代理
- コンサルティング業務
それぞれ見ていきましょう。
仕事①各種書類の作成
1つ目の仕事は、各種書類の作成です。
まれに、特定の士業しか作成できない書類もありますが、それ以外の書類作成を行います。
作成する書類の種類は大まかに分けて3つあります。
- 官公署に提出する書類
- 権利義務に関する書類
- 事実証明に関する書類
具体的には、土地利用に関する申請書や遺産分割協議書などです。
これらの書類作成にあたり、法律に関する知識が必要になってきます。
仕事②許認可申請の代理
2つ目の仕事は、許認可申請の代理です。
許認可申請とは、事業を行う上で必要な申請で、飲食店の営業許可書や建設許可証のことをいいます。
この申請は、事業を行う本人でも申請できますが、専門的な知識が必要なため、行政書士に依頼してくるケースがほとんどです。
さらに、飲食店の営業許可書を作成するのであれば、飲食店に関する専門的な知識も必要です。
仕事③コンサルティング業務
3つ目の仕事は、コンサルティング業務です。
申請書の作成が主な業務内容のため、イメージしにくいかもしれませんが、行政書士は書面の作成以外に助言も行います。
たとえば、顧客が最適な法的手続きを行えるようにアドバイスしたり、許認可が下りなくて悩んでいる顧客に寄り添って仕事を進めたりなどです。
このような、法的な相談やアドバイスをもとめる顧客は増えてきています。
そのため、コンサルティング業務も仕事の1つになりつつあるのです。
土地家屋調査士と行政書士の独占業務の違い
土地家屋調査士と行政書士にはそれぞれ独占業務といって、その資格を持っている人しか行えない業務があります。
独占業務は以下の通りです。
土地家屋調査士 | 表示に関する登記 |
行政書士 | 権利義務に関する書類の作成
事実証明に関する書類の作成 |
表示に関する登記とは、土地の大きさや所在地の登録です。
土地の測量は測量士でも行えますが、表示に関する登記は土地家屋調査士しか行えません。
行政書士の独占業務である権利義務の書類作成とは、土地などの名義を登録するための書類作成のことです。
事実証明に関する書類には、調査書類や会計帳簿、決算書類など様々な種類の書類があります。
土地家屋調査士と行政書士の年収
ここからは、土地家屋調査士と行政書士の年収を紹介します。
- 土地家屋調査士の年収
- 行政書士の年収
それぞれ見ていきましょう。
土地家屋調査士の年収
土地家屋調査士の年収は600万円くらいです。
平均的なサラリーマンの年収より多く、仕事がなくなる心配もないため安定した職業といえるでしょう。
さらに、個人事務所を設立している人は1,000万円以上稼いでいる場合もあります。
行政書士の年収
行政書士の年収は個人差が大きく600〜2,000万円くらいです。
独立している人は、頑張り次第で稼ぎが多くなるため、やりがいのある職業といえるでしょう。
ダブルライセンスを取るメリット
ここからは、ダブルライセンスを取るメリットを紹介します。
- 開発許可申請を代理できる
- 遺産分割協議書を作成できる
- 農地転用の許可・届出ができる
それぞれ紹介していきます。
メリット①開発許可申請を代理できる
開発許可は、宅地造成などを行う際に必要な許可です。
宅地造成とは、農地や森林を変形させて住宅地を作ることを言います。
行政書士はこの申請を代理で行えるのです。
さらに、土地家屋調査士の資格を持っていれば区画を分けたり、土地の面積を測ったり、土地の大きさを登録したりできます。
そのため、土地家屋調査士と行政書士を持っていれば、開発許可に関する一連の業務を請け負うことができるのです。
メリット②遺産分割協議書を作成できる
遺産分割協議書とは、遺産を相続する人が複数いる場合、どのように分割するかを定めたものです。
遺産のなかに土地も含まれている場合、土地の分割や公正証書遺言の作成手続きが必要になってきます。
そのため、土地家屋調査士の資格で、不動産の分割や売却などの登記申請を行い、行政書士の資格で、公正証書遺言の作成手続きを行えます。
その結果、遺産相続が発生する前から相続後まで、長期間サービスを提供できるのです。
メリット③農地転用の許可・届出ができる
農地転用の許可とは、もともと農地だった土地を住宅用の土地に変更することです。
相続した農地に家を建てたいとき、許可書の代理申請は行政書士が行い、地目の変更や測量、図面作成などは土地家屋調査士が行います。
このように、ダブルライセンスがあれば、誰かに追加で依頼することなく、一貫して業務を行うことができます。
土地家屋調査士試験と行政書士試験の難易度
土地家屋調査士や行政書士は国家資格のため、資格取得には試験に合格する必要があります。
土地家屋調査士試験と行政書士試験は難しいのでしょうか。
ここからは、2つの資格の難易度を紹介します。
- 土地家屋調査士試験の難易度
- 行政書士試験の難易度
それぞれ紹介します。
土地家屋調査士試験の難易度
土地家屋調査士試験の難易度は高いです。
試験の合格率は毎年8〜9%で、上位400名程度しか合格できません。
合格に必要な勉強時間は1,000時間といわれており、合格までの平均受験回数は3回です。
もし、1回目の受験で合格できれば、とても優秀といえるでしょう。
試験は筆記と口述があり、筆記試験のうち記述式の試験対策がもっとも難しいと言われています。
土地家屋調査士試験は独学でも合格できる?勉強法も紹介
行政書士試験の難易度
行政書士試験の難易度も高いですが、土地家屋調査士試験ほどではありません。
試験の合格率は10〜15%で、300点中180点を超えれば合格できます。
合格に必要な勉強時間は800時間といわれており、土地家屋調査士よりも200時間ほど少ないです。
試験科目は法令科目が5科目で、一般知識科目が3科目と幅広いため、覚える範囲は広いでしょう。
行政書士は、全体の合計点で合否が決まるため、比較的勉強しやすい試験です。
土地家屋調査士と行政書士はダブルライセンスがおすすめ
土地家屋調査士と行政書士の仕事や収入の違いを紹介しました。
それぞれ独占業務があるため、両方の資格を保有していると仕事を一貫して完結できたり、仕事の幅も広がります。
そのため、ほかの事務所と差別化を測りたい人はダブルライセンスがおすすめです。
しかし、どちらの資格も、取得するためには難易度の高い試験に合格する必要があります。
毎日の業務をこなしながら勉強時間を捻出するのは難しいですよね。
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